題名:こんな老人は嫌だシリーズ③
作者:オニオン侍
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時間:2分弱
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【配役】
◎男性
名前:爺
年齢:70~90代
概要:元気
◎女性
名前:婆
年齢:70~90代
概要:元気じゃない
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【本文】
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婆「ゲホゲホ……じいさんや、先に向こうに行きますね。長いことお世話になりました」
爺「待て、待つんじゃ婆さん」
婆「ジジイのワガママなんてみっともないですよ。私はもう充分、生きましたから」
爺「い、嫌じゃ」
婆「爺さん……」
爺「嫌じゃ……み、看取ってくれんと……」
婆「爺さん?」
爺「ワシの方が先に死にそうなんじゃから、看取ってくれんと嫌じゃ!死ぬな、死ぬな婆さん!」
婆「何を馬鹿な事を言うんですか。私の方が、ほれ、ゼエゼエ……今にも、息絶えそうですよ」
爺「む、むむ……ゲーホゲホゲホ、あーーもう駄目じゃーー婆さんすまぬーー置いて死んでしまうんじゃーー」
婆「ヘタクソな芝居をうつんじゃないですよ、爺さん」
爺「嫌じゃーーー!婆さん死なんといてくれー!!看取られずに死ぬのは嫌じゃー!ゲーホゲホゲホ」
婆「はあ……まったく元気なジジイですねぇ。いいですか。向こうには、ゆっくり来るんですよ」
爺「ば、婆さん……」
婆「最後くらい、素直に引き止めてくれたらいいんですよ。何十年経ってもあなたはほんとに天邪鬼なんですから、困ったものですね」
爺「……う、ううう」
婆「爺さん」
爺「ううう……俺を置いて行くな!死ぬな!寂しいだろう、お前がおらんと俺は駄目なんだ!頼むから……死ぬな……」
婆「ふふふ……嬉しい事を言ってくれますね。ありがとうございます。冥土の土産に聞けて満足です。ですけれど、ごめんなさいね。こればっかりは、ゲホゲホ……」
爺「うう、ううう……」
婆「添い遂げてくださってありがとうございました。……また、夫婦になりましょうね」
爺「ああ……ああ……もちろんだ。そっちにはゆっくり向かう……だから、他のジジイに色目使うんじゃないぞ」
婆「ええ、もちろんですよ……。おやすみ、なさい」
爺「おやすみ……」
~完~