作者:オニオン侍
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※本作における著作権管理・利用について
本作は著作権フリーであり、サークル活動、
無料放送、商業目的問わず自由にご利用下さい。
また、いかなる目的での利用においても報告は不要であり、
必要に応じて改稿・編集をして頂いても構いません。
(ご報告はいただけるとめちゃくちゃ喜びます。)
※エンディングが分岐します。
男役の方がお好きに決定なさってください。
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時間:10分弱
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※配役
○男性
名前:男
年齢:20代
概要:霊感が強い
○女性
名前:女
年齢:20代
概要:霊感はない
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本文
*
○アパートの一室にて
男「おはよ」
女「おはよう」
男「…寝れた?」
女「んーん、でも大丈夫だよ」
男「そっか。お腹は空いた?」
女「うーん…大丈夫、かな」
男「…そっか。ごめん、僕は食べてもいいかな?」
女「もちろん!何食べるの?」
男「焼きそばでも作ろうかな」
女「いいねいいね、私も好きだったなー」
男「…あー、テレビでもつけとこっか」
女「あ…ごめんね?つい」
男「いや、僕の方こそ。ごめん」
女「…ふふ、2人して謝ってる」
男「(つられて微笑)…だね」
女「それじゃ一緒にお台所行こっか」
男「…動ける?」
女「このお部屋の中ならどこへだって行けるさ」
男「そっか。じゃあ、行こうか」
女「私も何かお手伝いできたらいいんだけどなぁ」
男「その気持ちだけで充分だよ」
女「ふふ、優しいなあ」
男「そんな事…ないよ。ほら、包丁持つから。そんなにくっついてたら危ないよ」
女「おっ、冗談言うなんてめずらしい!」
男「もう…ほら、からかわない」
女「ふふ、ごめんごめん」
間
男「(材料を切りながら)…僕は…」
女「なになに?」
男「…冗談のつもりなんて、なかったよ」
女「…えっ、あ…」
男「本気で、そう思ったんだ。…君の言葉を借りるなら『つい』…かな」
女「あ、ご、ごめんね…ありがとう…」
男「…いや、僕も…ごめん」
女「…えっと」
男「ごめん、でもね。2年経った。あれから2年も経ったんだ」
女「…うん」
男「君は変わらないのに、僕だけ変わるんだ。それなのに、僕は進めない。変わっていくのに」
女「ま、待って」
男「君はもう死んだのに、こうしてここに居る。あの日から変わらない姿で、ここに、僕の部屋に」
女「ねえ、落ち着いて」
男「(食い気味に)僕が…僕がいけないんだ。見えてしまうから…未練たらしく縋ってしまうから…」
女「待って、待ってよ」
男「触れられないのに、君がそばにいる…あまりに変わらない姿でそこにいるから…僕は君の死から『つい』目を逸らしてしまう」
女「待ってってば!!」
男「こんなに苦しい思いをするのなら…いっそ…いっその事、見えない方がマシだった!!」
女「…!!本当に、そう思うの?」
男「(大粒の涙をこぼしながら)…は、ぁ…はぁ…ごめん、ごめんね…でも、これは、僕の本心だ…」
女「…また、あなたを苦しませちゃった…ごめんね」
男「いや…力任せに怒鳴って、ごめん」
女「ううん、大丈夫だよ…。ねえ、嫌いになったって事じゃ、ないんだよね?」
男「嫌いになんて…なってない。むしろ、逆なんだ…こんなにも愛しいのに、僕だけが老いていく…それがたまらなく怖いんだ…」
女「……そう…かぁ…。そっか、そっか…ごめん、ごめんね?あなたが、私を見つけてくれたから嬉しくなっちゃって、『つい』…こっちに居座っちゃった…私、死んでるのにね」
男「……ごめん」
女「謝らないでよ。残された方が、悲しいもんね。私の方こそ、ごめんね」
男「……ごめん…」
女「やだな、そんなに、泣かないでよお…」
男「ごめん…」
女「もー…やだな、やだな…消えたくないよ。ずっとこのお部屋で、あなたと居たいよ…。でも、でも…このままじゃきっと、嫌われちゃうから。ちゃんと、おわかれ…しよっか」
男「…おわかれ…」
女「うん。2年前に、きちんとできなかったおわかれ。あなたはこっちで、私はあっちで幸せに暮らすための、大事なご挨拶」
男「……ごめん」
女「もー!謝らないの!これから必要な言葉はありがとうだよ。…あのね。私のこと、ずっと、ずっと愛してくれてありがとう」
男「愛して…」
女「死んじゃったのに、それから2年も大好きな人と暮らせたなんて、私はきっと世界一幸せ者!」
男「うん…僕の方こそ…愛してくれて、ありがとう」
女「…うん」
男「…見えない方が良かったなんて…酷いこと言ってごめん」
女「もー、また謝ってる」
男「そんな酷い男を、最後まで愛し続けてくれて、ありがとう」
女「ふふふ、酷くなんて全くないんだからね」
男「…ふふ、ありがと」
女「…それじゃ、これでおわかれだね」
男「…またね」
女「またね」
男「ありがとう」
女「こちらこそ。ありがとう」
↓エンディング分岐(A~C)
*
エンドA『わかつとき、歩み進めて』
男「静かに…なった…」
男「ああ……もう、二度と、会えないんだな…」
男「はは…これが、おわかれかぁ…」
男「そっか…そっか…こんなに、こんなにも…苦しいんだ……」
男「(ひとしきり涙を流し一呼吸つき)……君にもらったこの痛みと、きちんと向き合うよ」
男「…ありがとう」
完
エンドB『わかつとき、永劫に留まりて』
男「…もう、これで…会えなくなるんだな」
男「これでよかったのか…わからないな…」
男「ねえ、君は……ああ…いないんだ、そうだ…」
男「僕が望んだ結果は、こんなにもむなしいものだったのか…?」
男「ああ…だめだ、だめだ、待ってくれ、僕が悪かった…!」
男「…あ、ぁ……待ってくれ…」
完
エンドC『わかつとき、1つになりて』
男「…僕は、優しくなんてない…」
男「自分の事しか考えていなかった……」
男「死んでしまった、君の方がつらいはずなのに…」
男「ごめん。はじめから、僕がそっちに行けばよかったね」
男「……別れなんて、しなくていいんだ。君といられれば、君と同じ時間を過ごせるなら」
男「すぐ、行くよ」
完
掛け合い練習用に女役のみ録音しました!
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